インタビュアー
井上知之先生
単行本の3巻は、自費出版で制作されました。
このいきさつを教えてください。
「はなまる魔法教室」は、2018年3月の連載終了後も、暫くはマンガワンのサイトで読むことができました。
でも、2018年5月にサイトから作品のページがなくなりました。
そうなると、単行本化されていない千葉ちゃん編は全く読めなくなります。
サイトのコメント欄では、そのことを惜しんでくれる方も多く、その声が一番のきっかけとなり、自費で本を作ることを決めました。
この頃、河内長野市の小中学校に作品を置いてもらったといった流れもありました。
制作にあたって、問題などはなかったでしょうか?
制作のための費用をどうするかといった問題がありました。
クラウドファンディングの利用も検討しましたが、大変そうだったので止めました。
ちょうど、クリエイターを支援するシステムの「PIXIV FANBOX」が始まった時期だったので、こちらを利用してみることにしました。
そのような頃、出会いがありました。
連載終了が決まった後、「たかさん」という方からTwitterでメッセージを受け取りました。
そして、会って話をしたところ、応援のために活動してくれることになりました。
具体的には、どのような活動があったのでしょう?
「『はなまる魔法教室』応援委員会」(現在は、「『はなまる魔法教室』ファンクラブ」)というTwitterのアカウントを作り、作品に関する情報を積極的に発信してくれました。
3巻の制作でも、最終チェックなどで助けてもらいました。
また、完成した単行本の販売でも、協力してくれました。
その他にも、オフ会などの楽しいイベントを企画してもらっています。
3巻の制作は、順調に進んだのでしょうか?
当初は、半月で完成させる計画でした。
しかし、終わってみると、2カ月程度かかっていました。(苦笑)
初めて行った作業もあり、制作では「カバーの絵を描く」「ページ構成を考える」「オマケページを描く」「写植を入れる」「カバーのデザイン」「線補正、書き足し」「最終チェック」「入稿」などを実施しました。
その他に、印刷所を探したり、販売方法を考えるといったこともしました。
「PIXIV FANBOX」の結果は、どうでしたか?
最終的に、68人もの支援を得ました。
おかげで、印刷代をほぼまかなうことができました。
元々は自分で出すことになるかと考えていたので、大変助かりました。
それはよかったです。
「PIXIV FANBOX」による支援は、見返りのないものでした。
そこで急遽思い立ち、単行本に支援者のお名前を入れさせていただくようにしました。
なるほど。
単行本の制作では、多くの人に助けてもらいました。
タイトルのロゴは、以前の単行本で利用したものを、デザイン事務所が無償で使わせてくれました。
写植は、マンガワンで掲載されていた分のデータを、編集部が厚意で提供してくれました。
残念ながら、サイズの関係でそのままの利用はできなかったのですが、連載中に手伝ってくれたアシスタントの人がフォントを探す作業を手伝ってくれました。
多くの人の力によって、完成したのですね。